自動演奏楽器の収蔵品
伊豆オルゴール館では、ピアノやオルガン、バイオリンなどの自動演奏楽器を展示しております。複数の楽器を鳴らす大型の自動演奏楽器も所蔵しており、演奏会では迫力ある音色が楽しめます。
※厳密にはオルゴールも自動演奏楽器の一つですが、当館ではその他のものを自動演奏楽器と呼んでいます。
自動演奏楽器の歴史とメーカー
歴史
オルゴール・自動演奏楽器・蓄音器の歴史をご覧ください
メーカー
オルゴール・自動演奏楽器・蓄音器のメーカー
自動演奏楽器の紹介
本格的な自動演奏楽器は400以上前、木製の筒(バレル)を楽譜代わりにしたバレルオルガンから生まれたといわれます。19世紀後期になると厚紙を折りたたんだ本型の楽譜(ブック)や薄紙のロール(ミュージックロール)を楽譜として使うのが主流になっていき、複雑な演奏を長時間行えるようになります。
19世紀後期~20世紀前期に最盛期を迎え、多くの人を楽しませました。
アルブロ ダンスオルガン
BURSENS
ベルギー(1950年)
演奏会に使用(9:20、11:20、13:20、15:20の演奏会)
ダンスホール用に作られた大型の自動オルガン。オーク材のケースの中に約200本の木製パイプが内蔵され、オルガンを演奏する。上部のステージにはアコーディオン、ドラム、中国式木琴、シンバル、サキソホォーンなどが取り付けられ、演奏に加わる様子を見ることが出来る。ミュージックロールを使用しており、楽器以外にも3色のライトの点滅というギミックがある。
フェアグランド ダンスオルガン
MORTIER
ベルギー(1920年)
演奏会に使用(10:20、12:20、14:20の演奏会)
大型のホール用自動オルガン。ブック式で電動に改造してあるが、当時は人の手で動かしていた。電気で大型送風機とフイゴを動かし、風を送っている。539本ものパイプとシンバル、木琴、スネアドラム、バスドラム、ウッドブロックなどが内蔵され、20種類の音を奏でることが出来る。また、正面の3体の人形も演奏に加わる。修復に3500時間以上かかり、塗装に関しては残っている絵の具を調べて、製作時と同じ色、デザインが施された。モルティール(モルティエとも)社はダンスオルガンに関して最高のメーカーとして知られ、木工の枠を超えたエレガントな作品は『ダンスオルガンのロールスロイス』とも評される。
アンピコ 演奏再生ピアノ
Mason&Hamlin
アメリカ(1925年
演奏会に使用(9:20、11:20、13:20、15:20の演奏会)
メイソン&ハムリン社のピアノに、アメリカンピアノ社製『アンピコ』という演奏を再生する装置を内蔵したリプロデューシングピアノ。これとは別に録音用のピアノがあり、ピアニストや作曲家が弾いた演奏をミュージックロール(ピアノロール)に記録することが出来た。音の強さは10段階以上に分かれており、非常に優れた再生機能を持つ。メイソン&ハムリンは日本では知名度はないが、アメリカではスタインウェイと並ぶ高級ピアノメーカー。
ニッケロディオン
メーカー不明
アメリカ(年代不明)
調整中(演奏しません)
オーケストラ形式の自動演奏楽器のことをオーケストリオンといい、ニッケル硬貨を入れて動かすオーケストリオンは『ニッケロディオン』という愛称で親しまれていた。曲目もダンス曲やマーチなど当時流行したものが多い。当館所蔵のニッケロディオンはピアノの他、鉄琴、シンバル、ドラム、タンバリンが内蔵され、軽快な音楽を奏でる。ピアノ本体は19世紀のものだが、オーケストリオン化されたのは20世紀だと思われる。
バンドマスター(ストリートオルガン)
Franz Oehrlein氏製作
ドイツ(1980年代)
調整中(演奏しません)
現代自動オルガン製作者の一人としてドイツで活躍している、オーアライン氏製作のストリートオルガン。26鍵の折りたたみ式ブック型楽譜を使用し、2列44本の木製パイプで演奏する。前面は装飾が施され、中央の指揮者が演奏中にタクトを振る。ヨーロッパでは昔ながらのストリートオルガンが町の広場などで親しまれており、現在でもストリートオルガンの職人達が活躍している。
ストリートオルガン(DF26/44 F)
DELEIKA
ドイツ(現代)
演奏会に使用(9:20、11:20、13:20、15:20の演奏会)
ストリートオルガンの有名メーカーであるデライカ社のストリートオルガン。26列の穴から命令を読み取り、44本のパイプで演奏する。現在でもドイツの工場で生産している。
ベニスのコメディアン(ストリートオルガン)
不明
不明(不明)
演奏会に使用(10:20、12:20、14:20、16:00の演奏会)
コメディアンの人形が手前に二人並んだブック式ストリートオルガン。レバーを回すと、ブックを読み込むのと同時にフイゴも動かし、オルガンを演奏出来る。ヨーロッパの大道芸人が実際に使っていたもので、30~40年程度前のものだと思われる。
自動バイオリン(VIORANO VIRTUOSO "Single Mills")
MILLS
アメリカ(1910年)
調整中(演奏しません)
20世紀初頭10年における米国の8大発明の一つとして米国政府に認定された自動バイオリン。ミュージックロールを使用し、バイオリンとピアノを演奏するが、他と異なり電磁石を利用して演奏する画期的な楽器。当館所蔵のものは初期の型で、ピアノ部分の弦とハンマーに独特のものが使われており、最高の音色とされている。部品には真鍮が多用され、ケースはマホガニーを使っている。
バンドオルガン(オーケストリオン49)
LIMONAIRE FRERE
フランス(1905年頃)
調整中(演奏しません)
リモネール社1840年設立、最古の自動オルガンメーカーとして知られる。ブックと呼ばれる、穴の開いた長い厚紙を折りたたんだものを楽譜として使用。ハンドルで厚紙を送りながら曲を演奏する。ブックの穴が読み取り装置を通過すると、レバーが上がって空気を送る弁が開き、パイプやその他の楽器を鳴らす構造になっている。現在では、ハンドルを電気モーターに変えている。
オーケストリオン(Model B)
WURLITZER
アメリカ(1909~1921)
演奏会に使用(10:20、12:20、14:20、16:00の演奏会)
ミュージックロール式。アップライトピアノのケースの中にフルート音を奏でるパイプ、ドラム2個、トライアングル、マンドリンを演奏する装置などが内蔵されている。コイン投入式オーケストリオンとしては大型にあたり、正面はステンドグラスで飾られている。
自動アコーディオン
ドイツ(1910年頃)
調整中(演奏しません) 広げたり狭めたりするだけで演奏できるアコーディオン。
フォトプレイヤー(Style 303)
アメリカ(1920年)
調整中(演奏しません)
無声映画で使われた自動楽器。演奏と共に、各種の効果音を出すことが出来る。
手回しバレルオルガン
James Davis氏
イギリス(1795~1815)
調整中(演奏しません)
ハンドルを回すとバレルが回転し、オルガンを演奏する。8曲入り。3列の金属パイプと1列の木製パイプを持つ。正面に並ぶパイプは装飾。
……などなど(他にも展示しております)
自動演奏楽器の内部
折りたたむ
バレルピアノの内部
バレルが回転するとピンが鍵盤を上げ、鍵盤が落ちた時に音が鳴ります。
オーケストリオンの内部
オーケストリオンは、オーケストラのように沢山の楽器を演奏することの出来る自動楽器です。普通はアップライトピアノにドラム・シンバル・シロフォン・フルートパイプ(フルート代わりの木製パイプ)など2~5種類の楽器を組み合わせます。営業用としてお店や酒場などに置かれ、コインを入れると演奏するものがほとんどでした。
大型の自動オルガンの内部
自動オルガンは、パイプに空気を送って音を鳴らします。ストリートオルガンなども含め、内部には多くのチューブが付いています。特に後期になると命令を空気で送るようになり、複雑化しました。
自動演奏楽器の楽譜
折りたたむ
バレル
木の丸太にピンを打ち込みます。一回転で一曲を演奏しますが数曲演奏できます。バレルを横にずらすと曲が変わります。
ミュージックロール
巻き取り式の薄い紙に穴を開けます。大きさが小さく取り扱いが楽なので、最も多く使われました。左の写真は映画館用のフォトプレーヤーのミュージックロールですが、途中で音楽が途切れないように二本のロールを使いました。
ブック型
折りたたみ式の厚紙に穴を開けます。穴の位置と長さで音が決まります。オルガンを演奏する為によく使われました。
紙製ディスク
円形の厚い紙に穴を開けます。一回転で一曲を演奏します。
このような、円形のオルガニート用ディスクがオルゴールディスクを発明するヒントになったと言われています。
金属ディスク
金属製ドーナツ型ディスク
自動演奏楽器に紹介されているアリオサ オルガニートなど、ドイツの数社がこのようなディスクを使用しています。
四角紙製ディスク
ドイツ製オルガニート・ヘロフォンに使われるディスクです。四角いディスクは回転せずに、機械本体が回転するという変わった構造です。ドイツならではのアイデアだと思います。
|
|
|